スイカごっこ

スイカとしてゴロゴロ転がる会

アパート編「手袋」15話(全15話)

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(登場キャラクター↓)

登場キャラクター、サリー、クイス、ロシュ、レファラ、スイカ

 

アパート編「手袋」15話(全15話)

 

201号室

201号室

 

スイカが手袋だと思っていた落とし物は、消滅した。

落とした本人であるクイスは、口直しに虫をバリバリと夢中で食べていた。

 

「邪魔されたくないのもあったけど、俺が虫を食べてるとこなんて、ホラーだからね。見られたくないよハニーには」
クイスはそう言った。


「それ言ったら俺が合成肉を食べてるとこだってホラーだろ」
サリーが横から口を出した。


「それで言ったら僕がバッテリーの充電してるとこも新しいタイプのホラーだよ」
ロシュも言った。


「私が水をガブ飲みしているところもホラーですか?」
スイカが聞いた。
「ホラーだな。夜中にスイカがみずから動いて水をガブガブ飲んでたらホラーだろ」
サリーが答えた。


誰であれ、何かを食べている場面は、はたから見たら全員仲良くホラー的だという謎の結論に落ち着いた。

 

101号室

101号室

 

「で、スイカよ」
サリーは自室に戻ると、なぜかくっついてきていたスイカに言った。


「何でしょうか、サリーさん」
「スイカの身に5階の部屋はきつくねえか?」
「は、はい。確かにわたくし、階段の途中で行き倒れになったことはございます。ですが、脱出シュートを自由に使えるという誘惑に抗えませぬ」
「そんなスイカにこのマシーンだ。スイカラケット~」


サリーは部屋に置いてあった、やたらと大きい、ラケットのようにも、しゃもじのようにも、手袋のようにも魚のようにも見える機械をスイカに見せた。


「ハッ、これは……! 2話目でサリーさんが火花を出しながら作っていた謎のマシンですね!」
「うわぁ……メタい上にすごい説明口調……。誰に説明してるんだオマエ……」

 

スイカはサリーのそんな言葉も、やはりつるりとスルーした。
「それで、これはどういったマシーンなのでしょう?」
「階段の上りがきついんだよな? だったら、1階のこの部屋から、脱出シュートの中を通って5階のオマエの部屋にたどり着ければいいんじゃねえかと」
「おお……!」
「ちとバイオレンスかもしれねえが」
「いえ、わたくしラケットでポヨンと5階に打ち上げられることにも興味津々でございます!」
そわそわした様子でスイカは言った。


「お、そうか。ほんじゃ、ま……スタンバイOK?」
「OKです! さあこい! よっしゃこい!」
謎の気合いを見せながらスイカは脱出シュートの出口、いや出口なのか入口なのかは不明だが、101号室側の開口部にスタンバった。

 

ぽよん!


なぜそんな音がするのかよくわからない音を立てながら、スイカは脱出シュートを逆流した。
「ふぉぉぉぉっ! すごいです!」
楽しくなってキャッキャと1人で笑いながら、501号室に戻った。

サリーと部屋を交換すればいいだけのことなのだが、スイカはご満悦なのだった。

 

 

 

ここはアパート星。


アパート星にはアパートしかない。


アパート星には物好きな5名の住人しかいない。

 


今日も住人はアパートの部屋で、各々の生活を営む。


なぜなら、アパート星にはアパートしかないからだ。

 


ほかに行く場所などない。

 

 

アパート星

 

(アパート編「手袋」おわり)