スイカごっこ

スイカとしてゴロゴロ転がる会

アパート編「手袋」10話(全15話)

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(登場キャラクター↓)

登場キャラクター、サリー、クイス、ロシュ、レファラ、スイカ

アパート編「手袋」10話(全15話)

 

階段

3階階段


サリーとスイカは、3階から4階に続くアパートの内階段を上りはじめた。


バビョーン、バビョーンと、段を飛ばしながら階段を跳び上がっていたスイカは、息が上がっていたものの、それでもサリーより先に4階にたどりついた。
そして、まだ階段を上っているサリーを待ちながら、ぽつりと言った。


「結局手袋については何もわからずじまいでしたね」
「おう。いや……正直忘れてたけどよ、まだ終わってねえだろ」
「レファラさんとロシュさんの手袋ではなかったのですよね。となるともう、クイスさんしかいらっしゃいませぬが、お会いできるまで時間が必要とのことですし、そもそもクイスさんの翼に、あの手袋は小さすぎるのではなかろうかと」
「おう」
「というわけで、私にはわかりませぬ! もはやどなたの手袋なのかさっぱり!」
スイカがやけくそで叫んだ。


サリーは階段を上りきるとスイカを追い越し、そのまま廊下を歩いた。
「んだからよ、途中いろいろあって忘れてるみたいだけどよ、スイカ。手袋ではないかもっていう俺の説があったろうが」
「おお、そうでした。しかし私にはわかりませぬ。だとすると、いったい何なのでしょうか、あの手袋に見えるものは」

スイカはサリーのあとについて、廊下をゴロゴロ転がりながら言った。


「手袋に見えるっつってもよ、オマエほかの手袋見たことあんのか?」
「ありませぬ! サリーさんが『手袋だ』とおっしゃったので『手袋』だとわたくし思い込んでおりました! 思えば『手袋』なるものを見たのも初めてでございます!!」
スイカがやけにきっぱり言い切った。


「おいおい、俺のせいかよ……。だって手袋だと思い込んでしまったんだもの。よく見えてねえのに手袋だと思い込んでしまったんだもの。手袋のにおいじゃねえとわかっていても、思い込んでしまったらもう仕方ねえ」
サリーは、そんな言い訳なのか何なのかよくわからない言葉をこぼした。
そしてサリーとスイカは、401号室のドアの前で動きを止めた。


レファラに、本日2度目の聞き込みをしにきたのである。

 

401号室

401号室


「手袋、まだ見つかってなかったの?」
光を絞った間接照明のみの、いつもの薄暗い401号室だった。


レファラはスイカとサリーにイスを勧め、ピッチャーからカップへ水をついだ。
いつもの、みんな大好きなお水だ。
カップに入った水をサリーとスイカに出しながら、レファラは尋ねた。
「サリーくんでも見つけられないの?」

「いや、見つけた。というか、ここにある」

 

そう言うと、サリーは自分の服のポケットを探った。
スイカはそんなサリーとレファラの会話を聞きながら、本日2度目のレファラのイスに乗り、体をゆらゆらさせていた。

 

サリーがポケットから落とし物を出して、レファラのテーブルの上に置いた。
イスに座ったレファラは、サリーが置いた落とし物に手を伸ばしながら言った。
「ずいぶんラフに扱ってるじゃない。あたしも触っていいの?」

「おう」

「これが何だとしても、あたしの物じゃないなあ……ってこれは!」
「おっ?」
「何かご存じなのですか、レファラさん!」
「これ手袋じゃないよ」


「おおっ! サリーさんの説を支持されるのですね! で、では何なのでしょうか」
「うーん……。うん?」
サリーと同じく、レファラもまた、言葉に迷っていた。


「何なのでしょうか……正体が何なのかを言おうとすると、言葉に詰まるような呪いでもかかっているのでしょうか、このアイテムに」
「んなわけねえ」
「そういうわけじゃないだろうけど」
サリーとレファラが同時にスイカの言葉を否定した。


「うーん、そうじゃないけどさ、ちょっと待ってね……うーん」
レファラは頬杖をつき、考えこんだ。

 

(アパート編「手袋」11話につづく)