スイカごっこ

スイカとしてゴロゴロ転がる会

アパート編「手袋」2話(全15話)

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(登場キャラクター↓)

登場キャラクター、サリー、クイス、ロシュ、レファラ、スイカ

 

アパート編「手袋」2話(全15話)

101号室

101号室


「というわけで、まずはサリーさんです。これはサリーさんの持ち物ではありませぬか?」


スイカはノックもせずにサリーの部屋に入り、棒を『さいこきねしす』でプルプルと支え、示しながらサリーに尋ねた。1週間前に地面に刺しておいた落とし物つきの棒を、同じく超能力で地面から引っこ抜いたものだ。


「俺? 俺、それ発見したときオマエと一緒にいただろ。俺のじゃねえよ」
サリーは何かの作業をしている途中だったが、作業をやめることなく答えた。


サリーの手元では、バチバチという音とともに火花が散っていた。
火花から顔面をガードする道具を構えたまま、サリーは言葉を続けた。
バチバチという音と火花に負けないよう、けっこうな大きさの声で言った。


「だいたいよ、その手袋の形を見りゃわかるだろ! 俺の手には合わねえよ!!」
「ハッ!! わたくし、手がないもので手袋というものについてまったく知識がございませんでした! なるほど、形を見れば持ち主がわかるのですね!!」
サリーの声につられ、スイカの声も大きくなっていた。

 

落とし物は、分類するならミトン型とでもいうべきだろうか、指1本分だけが独立した手袋のような形をしていた。


「俺の手袋は爪が出せるようになってるけどよ! いちいち爪を通すとか面倒だから、手袋なんか普段しねえよ!」


サリーの先祖は犬だ。

サリーの手、かつては前足と言われていたが、2足歩行するようになってからは手と呼ばれるようになった部位は、犬に似ていた。
その手の形にフィットするような手袋を持っているということなのだろう。

 

スイカはなおも作業を続けているサリーに尋ねた。
「そうでしたか!! では! この形は! どなたの可能性が一番高いでしょうか!!!?」
「その形だったら! ロシュかレファラじゃねえかな!! 俺ではねえよ!!!!」


互いが互いの声を聞き取れるよう気づかうあまり、会話している最中の声がどんどん大きくなるという謎のインフレ現象は、ここで終わりを告げた。
気づかうくらいならサリーが作業をやめればいいだけの話なのだが、作業をやめたらやめたでスイカが邪魔をして作業をやめさせたことになってしまう。
そういった気づかいが互いの声を大きくさせるという謎現象が発生し、そして終わった。


まったく無意味な気づかいであるということは、サリーもスイカもわかってはいた。

 

(アパート編「手袋」3話につづく)